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広島高等裁判所 昭和24年(う)499号 判決 1950年6月09日

被告人

大下荒人

外一名

主文

本件各控訴を棄却する。

当審に於ける訴訟費用は被告人両名の負担とする。

理由

弁護人小林右太郎、同平山雅夫、同渡辺伍の各控訴趣意第二点について。

(イ)  麻薬取締法第三十九条に所謂麻薬中毒者とは麻薬に対する習慣性の増強を認めることが出来、持続して習慣的に麻薬の欲求があり、且この欲求に基いて行動する麻薬常用者をいふものと解すべく(中略)麻薬中毒者とは所論の様な届出があつた者のみに限定すべきものではなく、又麻薬中毒者であるか否かを認定するに付ても裁判所が相当と認める資料に基いて之を認定すればよく、必ずしも所論の様に特別の智識経験のある者の鑑定等の方法によらなければならないものではなく、

(ロ)  又麻薬施用者が一回でも麻薬中毒者に其の中毒症状を緩和する為麻薬を施用すれば、麻薬取締法第三十九条に違反するのであるから、同条違反の犯罪事実を判示するには其の旨を判示すれば足り、其の回数、数量等を判示することは必ずしも必要なことではないから其の間に多少の誤があつても原判決破棄の理由とはならない。

(ハ)  同法第四十二条第一項の犯罪は、麻薬施用者が患者に麻薬を施用しながら其の記録を作成しなかつた度毎に、夫々一罪として成立するものと解すべきで、所論の様に営業犯として包括一罪をなすものと解すべきでない。

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